「マンダロリアン」というドラマを観ていて、ずっと感じていたことがある。
──こいつ、俺じゃん。
いや、もちろんベスカー鋼の鎧は持ってないし、ジェットパックで飛んだこともない。ブラスターも撃てない。でも、ディン・ジャリンという男の「在り方」を見ていると、フリーランスイラストレーターとして15年以上生きてきた自分の人生と、驚くほど重なる瞬間がある。
今日はその話をしてみたい。
「This is the way.」──掟に従うということ
マンダロリアンたちの口癖、「This is the way.(これが掟だ)」。ディン・ジャリンは素顔を他人に見せない、という厳格な教義を守り続けて生きている。それが合理的かどうかなんて関係ない。自分が信じた流儀を、ただ貫く。
俺にも「掟」がある。それが何かは、このブログを読んでくれている人なら知っていると思う。
ひとつの画風を10年以上貫くということは、流行を追わないということだ。効率を最優先にしないということだ。AIに任せないということだ。周囲がどれだけ変わっても、自分だけは変わらない一本の線を引き続ける。
This is the way.
拾い子──居場所を自分で勝ち取った男
ディン・ジャリンは戦乱で両親を失い、マンダロリアンに拾われて戦士として育てられた。惑星マンダロア出身でもないのに、実力と信念で「マンダロリアン」になった男だ。血縁じゃない。選んだ道が、彼をマンダロリアンにした。
フリーランスも同じだ。
会社に所属していた時期もあった。中間に入る組織を経由して仕事を受けていた時期もあった。消耗した時期もあった。でも最終的に、自分が本当に信頼できる相手と直接向き合える場所を、自分の手で掴んだ。
誰かに与えられた椅子じゃない。自分で勝ち取った椅子だ。
マンダロリアンの文化では、血縁より「当事者の意思や精神的な繋がり」が重視される。出自なんか関係ない。何を信じて、何を貫いたか。それだけが問われる世界。フリーランスの世界も、まったく同じだ。
ベスカー鋼の鎧──スキルという最強の防具
マンダロリアンの鎧はベスカー鋼で作られている。ライトセーバーの一撃すら弾く、銀河最強の素材。ディン・ジャリンは報酬で得たベスカーを鎧に鋳直し、戦うたびにアップグレードしていく。
イラストレーターにとっての「ベスカー鋼」は、画力だ。
どれだけ市場が変わっても、AIが進化しても、クライアントの要求が変わっても──「この人にしか描けない」というスキルがあれば、それは何物にも替えがたい防具になる。数百枚を短期間で描き上げた経験も、業界の重鎮に認められた瞬間も、すべてが俺のベスカーだ。
そしてディンが鎧を鋳直すように、俺も毎日身体を鍛える。身体という土台がなければ、描き続けることはできない。鎧のメンテナンスを怠る戦士は、戦場で死ぬ。
素顔を見せない──裏方という生き方
ディン・ジャリンは、教義に従って決して他人にヘルメットを脱いだ顔を見せない。だから「マンダロリアン」という通称だけで呼ばれ、本名を知る者はごくわずかだ。
公式イラストレーターの仕事も、まさにそれ。
俺が描いた絵は何百万人の目に触れる。コンビニに並び、ゲームに実装され、商品になる。でも「誰が描いたか」を知っている人はほぼいない。クレジットすら載らないこともある。
それでいい。いや、それがいい。
ヘルメットの下の素顔に価値があるんじゃない。ヘルメットを被ったまま何を成し遂げたかに価値がある。ディン・ジャリンが銀河中でその名を轟かせたのは、顔を見せたからじゃない。顔を見せないまま、圧倒的な実力で仕事を完遂し続けたからだ。
グローグーを守る──守るべきものがある強さ
物語の転換点は、ディンがグローグーに出会ったことだ。依頼のターゲットだった小さな命に情が移り、掟を破ってまで守ることを選ぶ。孤高の賞金稼ぎが、守るべき存在を得た瞬間に、物語の色が変わる。
一匹狼は、守るべきものを得た瞬間にもっと強くなる。
ディンがグローグーのためにダーク・トルーパーの群れに立ち向かったように、大切な人の未来のために全力で動ける自分でいたい。それは弱さじゃない。一人で戦っていたときよりずっと強い理由を手にしたということだ。
帝国の残党──搾取構造との戦い
「マンダロリアン」の世界では、銀河帝国が崩壊した後も、その残党がしつこくグローグーを追い回す。権力は倒れても、搾取の構造はしぶとく生き残る。
フリーランスの世界にも「帝国の残党」はいる。
中間搾取、不当な契約条件、クレジットの不記載、「描けるだけでありがたいでしょ?」という態度。そういう構造と何年もかけて向き合い、分析し、ひとつひとつ覆してきた。
ディン・ジャリンがそうであるように、戦い続ければ、いつかダークセーバーを手にする日が来る。俺にとってのダークセーバーが何だったかは──まあ、わかる人にはわかると思う。
「ふぇにょんの流儀」=「This is the way.」
このブログのタイトルは「ふぇにょんの流儀」だ。
マンダロリアンの教義「This is the way.」は、直訳すれば「我らの道」。でもその本質は「自分が信じた流儀を、周囲がどう言おうと貫き通す覚悟」のことだと思っている。
自分の画風を貫くこと。自分の価値を自分で定義すること。搾取を許さないこと。身体を鍛え続けること。守るべき人を全力で守ること。
それが、俺の掟だ。
ディン・ジャリンとふぇにょん──7つの共通点
最後に、改めて整理しておく。
① 掟を貫く男 ディン:素顔を見せない教義を厳守 ふぇにょん:ひとつの画風を10年以上ブレずに貫く
② 拾い子=自分で居場所を勝ち取った ディン:マンダロア出身でないのに実力でマンダロリアンに ふぇにょん:組織を転々としながら、実力で直接取引を確立
③ ベスカー鋼=スキルという鎧 ディン:報酬をベスカーに換え、鎧を強化し続ける ふぇにょん:経験と画力を積み上げ、替えの利かない存在に
④ 素顔を見せない=裏方の美学 ディン:ヘルメットの下の顔は誰も知らない ふぇにょん:何百万人が見るイラストの描き手を誰も知らない
⑤ 守るべき存在が男を変える ディン:グローグーとの出会いで掟すら破る ふぇにょん:大切な人の存在がすべての原動力
⑥ 帝国の残党=搾取構造との戦い ディン:崩壊した帝国の残党と戦い続ける ふぇにょん:中間搾取・不当契約と戦い、構造を覆した
⑦ 一匹狼だけど、仲間は選ぶ ディン:基本ソロだが、信頼できる者とは協力する ふぇにょん:フリーランスだが、信頼できる相手とだけ組む
マンダロリアンは種族じゃない。ひとつの教義だ。
フリーランスイラストレーターも、肩書きじゃない。ひとつの生き方だ。
映画ももちろん見に行く。This is the way.
