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究極の個人

2026 3/29

「究極の個人」という生き方がある。

組織を持たない。従業員を雇わない。固定費を最小にする。
自分の腕一本で稼ぎ、規模を追わず、特化し、身軽でいる。
利益=時間。規模の縮小。個人の強み。

僕はフリーランスのイラストレーターとして13年間、この思想を実践してきた。
日本を代表する国民的タイトルの公式イラストを複数描き、取引先は誰もが知る大手企業ばかり。
年商は、一般的に「法人化した方がいい」と言われるラインをとっくに超えている。

それでも、あえて法人化しない。
会社を作らない。社長にならない。株式会社の看板を掲げない。

これは怠慢でも無知でもない。
税理士とメリット・デメリットを全て洗い出した上での、戦略的な判断だ。

目次

「法人化した方がいいですか?」に答えが出た日

一般的に「法人化した方がいい」と言われるラインを超えたとき、税理士に相談した。
答えは「まだ個人で問題ない」。そのまま個人事業主を続けた。

そしてさらにキャリアが上がった2024年4月、改めて税理士に聞いた。
「ずっと避けていた法人化について、そろそろちゃんと考えたい」と。

僕が伝えた「法人化を避けてきた理由」はこうだ。

仕事がもしなくなってもすぐに逃げられるよう、とにかく身軽でいたい。今までやった手続きを1からまたやりたくない(小規模共済、iDeCo、倒産防止共済、文美保険など)。法人税が払えるか不安。稼いだ分すべて自分で使えたのが、給料にしてしまうとそれ以外は会社のお金になってモチベーションが下がる。これ以上事業を広げるつもりがない。法人化の手続きが面倒。取引先に言うのが億劫。

全部正直に書いた。
そして担当税理士は1週間後、僕専用の法人化メリット・デメリット一覧を返してくれた。

税理士の結論:「信用度がどれだけほしいか次第」

税理士は大前提としてこう書いてくれた。
「法人化するか?しないか?の一番大事なところは、信用度がどれだけほしいかになるかと思います。1人会社と言っても、個人でやられるよりかは、格段に信用度もあがりますし、相手視点にたつと仕事が頼みやすい状況になります」

これはプロとして正しい指摘だと思う。
でも僕の場合、この前提がそもそも当てはまらない。

日本を代表する大手企業から、個人事業主のまま名指しで指名・依頼が来ている。
取引先が作成した企画資料に、僕の画力について明文化されたこともある。
業界の原作サイドから直接、最高の評価をいただいたこともある。
都内一流ホテルでの公式パーティーに招待されたこともある。
SNSのフォロワーは合計40万人を超えている。

13年間、一度も「法人じゃないと取引できません」と言われたことはない。
信用は法人格ではなく、成果物の品質と納期遵守と実績の積み重ねで築くものだ。
名刺に「株式会社」と書いてあるかどうかで仕事の質が変わるわけがない。
40万人のフォロワーは「株式会社ふぇにょん」じゃなくて「ふぇにょん個人」についている。

「究極の個人」は、法人格がなくても信用される。
代替不可能な技術があれば、看板なんかいらない。

「法人の看板」の正体を、僕は知っている

かつて、ある中間業者を通じて仕事をしていた時期がある。
その会社の社長は「法人」という看板を掲げていた。
立派な会社名、代表取締役の肩書き。対外的には信用があるように見えた。

でも実態はどうだったか。
その法人が受注した仕事の中身を作っていたのは、僕という個人だった。
法人の看板で仕事を取り、個人の技術で納品し、利益の大半は法人の懐に入る。
クレジットは載らない。単価は叩かれる。でも品質を担保しているのは僕の手だった。

あの経験があるから、はっきり言える。
法人は「箱」でしかない。箱に価値があるのではなく、中身に価値がある。
中身がなければ、どんなに立派な箱も空っぽだ。

逆に言えば、中身がある人間には箱がいらない。
僕はあの中間業者から離れ、直接取引を一つずつ勝ち取った。
法人の看板を借りなくても、個人の技術と実績だけで大手企業と直接契約できることを、この13年で証明した。

あの社長は今どうしているか。
僕は知らないし、興味もない。
ただ一つ確かなのは、「究極の個人」は中間業者に搾取されないということだ。

法人化のメリット6つ、デメリット9つ

税理士が挙げてくれたメリットは6つ。

① 源泉徴収されなくなる。
個人でイラストの仕事を受けると売上から約10%が源泉徴収される。法人で受ければ全額入金される。

② 決算期を自由に選べる。
個人は1〜12月が強制。法人なら繁忙期を避けた決算期を設定できる。

③ 給与所得控除が使える。
法人から自分に役員報酬を出せば、年収850万超で最高195万円の給与所得控除。ただし税理士曰く、「最近は高額所得者の締め付けもあり、給与所得控除が減額傾向。従来に比べるとメリットは少なくなっている」。

④ 消費税の2割特例が使える(最長2年)。
新会社は過去の売上が0円なので、2割特例の対象になる。僕は簡易課税で消費税の半分を払っているから、法人化すれば2年間は消費税が半額以下になる。これは大きなメリット。

⑤ 個人事業時代の税務調査リスクが減る。
法人化すれば個人事業は廃業扱い。廃業した個人に調査が入ることはまれ。

⑥ 自分の食事代も交際費で認められやすい。
個人だと「自分が食べた分は経費から抜け」と言われることがあるが、法人なら個人と法人は別物なのでそうなりにくい。

ここまで聞くと「じゃあ法人化した方がいいじゃん」と思うかもしれない。
でも税理士は、デメリットの方をもっと多く挙げてきた。

① 法人化しても個人の確定申告は続く。
僕の場合、医療費控除や投資関係があるから法人化しても確定申告はなくならない。法人と個人のダブルパンチ。

② 税理士報酬が上がる。
税理士自身が「幾分か弊所の報酬は上がる」と明言。

③ 設立費用30万円。引っ越しのたびに登記が必要。

④ 社会保険に強制加入。
これが最も致命的。税理士の試算では、役員報酬を月50万に設定した場合、健康保険と年金で毎月15万円前後のコスト。年間180万円。
僕は現在、文芸美術国民健康保険に加入していて月約2.2万円。年間26万 → 年間180万。差額154万円の増加。
しかも一人法人の場合、会社負担分も個人負担分も実質全部自分で払う。
税理士も「昔はゆるかったので国保のままいけるところまで行こうというのが通用しましたが今は難しい」と。

⑤ 税務調査リスクがむしろ上がる。
税理士曰く、「個人に比べ、法人のほうが調査の数は全然多い。法人の調査が5〜6件あれば、1件くらい個人の調査が入る感覚」。
しかも法人だと経費の基準が厳しくなる。

⑥ 源泉徴収する側になる。
自分に給与を出す、税理士に報酬を払う──全部、今度は自分が源泉徴収して税務署に納付する義務が発生する。

⑦ 会社のお金を自由に出し入れできない。
役員報酬以外を引き出したら「役員賞与」として個人に課税され、会社の経費にもならない。

⑧ ふるさと納税の上限が大幅に下がる。

⑨ 交際費の上限が年間800万円。
個人なら上限なし。

メリット6つ。デメリット9つ。
数だけ見ても答えは出ている。

「究極の個人」に法人は必要ない

税理士の分析を読んで、僕の答えはこうだった。

「節税メリットよりも事務作業デメリットのほうが多く感じるので、おっしゃるとおりこのままがいいと思いました」

とにかくひっきりなしに依頼が来るのに、そこに事務作業が乗ってくるのが一番のダメージ。
僕の仕事は絵を描くことであって、源泉徴収の計算や社保の手続きではない。

税理士も最初の段階で「個人で問題なければしばらく個人でいってもいいのかとも思います」と書いてくれていた。数字を全部知っている税理士が「個人でいい」と言ってるなら、それが答えだ。

結局、法人化とは「組織を持つ」ことだ。
たとえ一人法人でも、法人格を維持するためのコスト・事務・制約が発生する。
それは「究極の個人」の真逆だ。
身軽さを武器にする人間が、わざわざ重りを背負いに行く理由がない。

あれから2年。「究極の個人」はさらに研ぎ澄まされた

2024年4月に法人化を見送ってから約2年。
結果的に、個人事業主のままでいたことは大正解だった。

昨年の確定申告では、ネットで「法人化した方がいい」と言われる水準をはるかに超える売上がありながら、個人事業主のまま所得税の最低税率区間に着地させることができた。源泉徴収されていた分もほぼ全額還付。住民税は均等割の数千円のみ。

なぜそんなことが可能なのか。
青色申告特別控除、小規模企業共済、iDeCo、社会保険料控除、医療費控除、ふるさと納税の寄附金控除──個人事業主が使える控除制度をフル活用しているからだ。
経費で無理に圧縮するのではなく、制度の控除で正攻法に落とす。全て実態のある支出で、税務調査が来ても全部説明がつく。

この設計は、僕の数字を全て把握している税理士との二人三脚で完成したものだ。
一人では絶対にたどり着けなかった。

法人化していたらどうなっていたか?
社保の負担が跳ね上がり、税理士報酬も上がり、法人住民税が赤字でも毎年かかり、税務調査リスクは何倍にもなり、ふるさと納税の上限は激減し、会社の金は自由に使えない。
消費税の2割特例は2年で終わる。デメリットは永遠に続く。

「究極の個人」を支える3つの柱

僕が13年かけて完成させた「究極の個人」の構造はこうだ。

第1の柱:代替不可能な技術
僕の場合は、ある巨匠のタッチを再現できるという極めてニッチな能力。
これは組織では生まれない。個人の手と目と脳でしか成り立たない。
法人化しても、僕が描かなくなったら終わる事業に、法人格という箱は不要だ。

第2の柱:経済的自立(FIRE)
仕事に依存しない資産を作ったことで、「断る力」を手に入れた。
安い仕事を断れる。割に合わない条件を断れる。嫌な相手との取引を断れる。
断れるから条件のいい仕事だけが残り、クオリティが維持でき、クライアントが離れない。
仕事に依存しない設計をしたことで、逆に仕事が途切れない状態が生まれている。

第3の柱:信頼できるプロとの連携
「究極の個人」は「全部一人でやる」という意味ではない。
税務は税理士に任せ、自分は絵を描くことに集中する。
その税理士が、僕の数字を全体で把握してくれているからこそ、個人事業主の控除体系を最大限に活用できている。
押しつけない。でも手は抜かない。そういうプロと組むことが、個人の力を何倍にもする。

法人化の「一般論」を鵜呑みにするな

ネットには「課税所得900万超えたら法人化」と書いてある。
でもそれは課税所得を落とす方法を知らない人の話だ。

僕は「法人化すべき」と言われる売上規模で、課税所得を所得税の最低税率区間まで落とせている。
法人税率より圧倒的に低い。
この状態で法人化したら、税金はむしろ増える。

大事なのは一般論ではなく、自分の数字で判断すること。
そのためには、自分の収入状況やこれまでの経緯を全て知っている税理士が必要だ。

「身軽でいたい」は逃げじゃない

2024年4月に税理士へ送ったメールの冒頭に、僕はこう書いた。

「現在までいつでも逃げられるよう、身軽でいたいために個人事業主にこだわっており、今後も死ぬまでそうしていこうと思っていました」

あれから2年。この気持ちは変わるどころか、むしろ強くなった。

40歳になって思う。あと10年、ものすごく動ける時間はそう長くない。
だからこそ、残りの「動ける時間」を事務作業に食わせるわけにはいかない。

法人を持つということは、赤字でも税金がかかり、社保が固定で発生し、会社の金を自由に動かせなくなるということだ。
つまり「やめたいときにやめにくくなる」。
いつでもやめられる身軽さこそがフリーランス最大の武器なのに、法人化はその身軽さを奪う。

Die with zero ── 健康寿命が終わる前に資産をすべて使い切る。
これが僕の人生設計の軸だ。
法人化は「資産を法人に閉じ込める」行為でもある。
使い切るつもりの人間が、わざわざ出口を狭くする必要はない。

「究極の個人」の完成形

組織を持たない。従業員を雇わない。固定費を最小にする。
代替不可能な技術で稼ぎ、規模を追わず、特化し、身軽でいる。
断れるだけの資産を持ち、やりたい仕事だけを選ぶ。
税務は信頼できるプロに任せ、自分は描くことだけに集中する。

これが、「究極の個人」を13年かけて完成させた形だ。

「法人化した方がいいですか?」と聞かれたら、僕はこう答える。

自分の数字を見ろ。そして信頼できる税理士を見つけろ。
一般論に振り回されるな。答えは自分の確定申告書の中にある。

それが、フリーランス13年目の僕の結論である。

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