最近、あらためて強く実感したことがある。
「絵が成立すること」と、「商業イラストとして成立させること」は、似ているようで別物だということ。
商業の現場では、ときどき“描く”というより、設計し直す作業が発生する。
たとえば──
-
複数キャラクターの高低差がある
-
奥行きと視線が絡む
-
巨大キャラクターの接地と重量が必要
-
それらを、限られた枠(カードデザイン等)に破綻なく収める
-
しかも「公式製品」として違和感ゼロにする
こういう条件が重なると、必要なのは画力だけじゃない。
空間の整合性、骨格、接地感、視線、重心、情報量の整理──
一枚の中で矛盾が起きないように、最初から最後まで“設計”が要る。
SNSには上手い絵がたくさんある。
表現として魅力があるし、それ自体は素晴らしい。
ただ、商業では評価軸がもう一段増える。
**「自分の得意なルールで描く」ではなく、
「与えられた条件の中で破綻を潰し、成立へ持っていく」**という軸だ。
現場で起きるのは、たとえばこんな依頼だ。
破綻しているラフを前提に、空間と人体と接地を整え、
“公式として違和感のない一枚”に再構築してください。
ここで必要になるのは、見栄えの良さより先に、破綻点を見つけて直す力。
「どこがズレているか」を言語化し、
直した結果、なぜそれが自然に見えるのかまで責任を持つ力だ。
重量感は、線の上手さだけでは出ない。
接地は、影だけでは誤魔化せない。
視線は、表情だけでは成立しない。
奥行きは、背景を描けば勝手に生まれるものでもない。
地味で、泥臭くて、時間がかかる。
でも商業で最後に問われるのは、結局そこだったりする。
商業で効くチェック(例)
-
接地:足裏の荷重と地面の関係
-
重心:骨盤位置と上半身の釣り合い
-
パース:床・机・円の楕円率の統一
-
視線:空間上で目線が交差する位置
-
情報量:主役が1秒で読める整理
僕が公式の現場でやっているのは、
“それっぽく見せる”ことではなく、
**「矛盾をゼロにして成立させる」**ことだ。
パッと見て違和感がない。それは当たり前のようでとても大変なことなのだ。
派手に語るより、淡々と積み上げる。
今日も、設計して、直して、成立させる。更に締切も守る。なんて大変な仕事なのだろうか。笑
