アメリカのコメディアン、Ali Wong(アリ・ウォン)氏(Instagramフォロワー200万人)の2026年全米ツアー公式マーチャンダイズにて、メインビジュアルのイラストレーションを担当しました。
きっかけは、2025年10月、インスタグラムに届いた一通のDMでした。 送り主は、ニューヨークを拠点とするデザイン会社「C47 Creative」のNaomi Otsu氏。「貴方のスタイルがとても素敵だと感じた」という熱いオファー文面と共に、日米を跨ぐプロジェクトが動き出しました。

実際のオファーDM。日頃から「自分のスタイル」を発信し続けていたことが、海を越えて大きなチャンスに繋がりました。
「本物(Legit)」を求めて
今回のプロジェクトで提示されたテーマは、彼女のスタンダップ・コメディにおけるエネルギッシュなスタイルを、「90年代の日本のTVアニメーションの様式美」で表現すること。
単なる「風刺(Parody)」として表層をなぞるのではなく、あの時代のセル画が持っていた特有の熱量、影の落ち方、そしてキャラクターが放つ「気」の表現までを、現代の解像度で再構築することを目指しました。

初期のコンセプト・ラフ案。エネルギーの放出やポージングについて、海を越えて何度もディスカッションを重ねました。
試行錯誤と「やっておいてよかったこと」
今回の制作を通して、特に意識し、結果として功を奏したポイントがいくつかあります。
1. 複数の選択肢の提示 言葉のニュアンスが伝わりづらい海外案件、かつ「スケジュールがタイト」という状況だったため、ビジュアルでの提案を最優先しました。 初期段階では、アリ・ウォン氏の象徴的な「妊婦姿」をベースにした構図や、あえてコミカルに振ったアプローチ(下図参照)も含め、方向性の異なるラフを4パターン提示。 「どれが好きか」を選んでもらう形式にすることで、すり合わせの時間を大幅に短縮できました。
初期のアイディア出し段階では、よりコミカルな方向性も検討しました。
2. 時差を「味方」につける 日本とニューヨークの時差は-14時間。 通常はデメリットになりますが、今回は「向こうが寝ている間に作業を進め、起きた頃に提出する」というサイクルを徹底しました。 これにより、実質1週間弱という短い制作期間でも、相手を待たせることなくスムーズに進行できました。
時間短縮のために4つのポーズを提案
国境を越えた反響
公開直後から、現地のファンの方々より多くの反応をいただいています。 中でも嬉しかったのは、関係者やファンからの「That one is legit(これは本物だ)」という言葉。

言葉や文化の壁があっても、「本気で作ったもの」は正しく伝わる。 そのことを肌で感じられる、クリエイター冥利に尽きる瞬間でした。

アリ・ウォンさんご本人からもご紹介いただきました。
素晴らしい機会を与えてくれたAli Wong氏、Naomi Otsu氏、そしてC47 Creativeのチームに心から感謝します。
最後に、4月から始まる全米ツアーの大成功を心よりお祈り申し上げます。
Client: Ali Wong / Naomi Otsu / C47 Creative Role: Lead Illustrator Year: 2026
