今は絵が上手い人多くて近い距離感で目に触れる機会が多過ぎるの若い人は大変だな
駆け出しのうちは闇堕ちしないためにも狭いコミュニティでお山の大将になれる期間は必要だと思う
でも見る方も目が肥えてしまっていて厳しい— かんざきひろ (@kanzakihiro) January 19, 2026
X(旧Twitter)で流れてきた、イラストレーターのかんざきひろ先生の言葉に、首がもげるほど頷いてしまった。
これ、本当にその通りだと思う。 いや、もっと正直に言おう。
もし僕が今の時代に生まれていて、思春期や絵を描き始めた頃に今のSNS環境があったら、間違いなく心か筆が折れて、プロになんてなれていなかった。
今日は、僕が13年間生き残ってこれた最大の理由——「勘違いする時間」の大切さについて書いてみたい。
「勘違い」という最強のエンジン
僕が思春期のころ、世界はもっと狭かった。 ネットはあったけれど、今のように「アプリを開けば数秒で神絵師の作品が100枚流れてくる」ような環境じゃなかった。せいぜい自分が好きなジャンルのお絵かき掲示板に投稿するくらい。pixivすら存在していない。
だから、クラスで一番絵が上手いとか、身近な友達に褒められるとか、そんな小さなコミュニティの中での賞賛だけで、「俺、結構いけるじゃん?」と本気で思うことができた。
はっきり言うと、それは大いなる勘違いだ。 世界レベルで見れば未熟もいいところだったはず。
実際、僕もそのあと初めてネットの「お絵描き掲示板」に投稿したとき、自分より年下なのにあまりにも絵が上手い人が多くて、正直挫折した経験がある。 井の中の蛙が、海を知った瞬間だった。
でも、重要なのはその「順序」だ。 僕には、そのショックを受ける前に、「自分は才能がある(かもしれない)」という幸せな誤解の中で、じっくりと技術を育て、絵を好きになる時間があった。 その「勘違い期間」こそが、根拠のない自信を生み、何時間でも机に向かわせる最強のガソリンになっていたんだ。
いきなり「天下一武道会」の決勝リングに上げられる残酷さ
でも、今の若い子たちは違う。
絵を描き始めて、勇気を出してSNSにアップした瞬間、その横にはプロ歴20年の神絵師のイラストが並ぶ。 タイムラインという無慈悲なシステムは、「昨日剣を持ったばかりの村人」と「レベル99の勇者」を、なんの区切りもなく同じ土俵に並べてしまう。
まるで、修行もしていないのに、いきなり天下一武道会の決勝リングに放り込まれるようなものだ。
しかも、見る側(オーディエンス)の目も肥えている。いくら学校でうまくてもネットの神と比べられて「大した事ない」 「プロと比べてここが変」なんてジャッジが、無意識に下される。
これじゃあ、「俺はいける!」なんて勘違いして自信を持つ隙間がない。 芽が出る前に、圧倒的な実力差という嵐に吹き飛ばされて、闇堕ちしてしまうのも無理はないと思う。
「井の中の蛙」でいる時間を大切にしてほしい
だからこそ、これから絵を仕事にしたい人や、今苦しんでいる若い人に伝えたい。
意識的に「井の中の蛙」になる時間を作ってほしい。 あえてSNSを見ない、すごい人たちと比較しない、狭い世界で「お山の大将」になる期間は、決して恥ずかしいことじゃない。むしろ、メンタルを守り、技術を育てるための必須条件だ。
僕自身、その「幸せな勘違い」の期間があったからこそ、挫折を乗り越え、13年かけてその勘違いを「本物の実績」に変えることができた。
正直、勘違いとセンスと誠実さだけでここまできた。
技術だけでいえば、自分より上手い人なんて死ぬほどいる。
だから、そこで戦うのはやめた。
最初から現実を見すぎなくていい。 「俺が最強だ」って思い込みながらペンを走らせる、そんな無敵の時間が、クリエイターには絶対に必要なんだ。
