先日、某大手アニメ制作会社さんから、人気タイトルの版権イラスト制作についてお声がけをいただきました。
ここ数年で、話題作を立て続けに世に送り出しているスタジオさんです。
SNSやサイトを丁寧に見てご連絡くださったとのことで、その点については素直にありがたく思っています。
ただ、今回のお話は、静かに見送ることにしました。
今日は、その理由を少しだけ書いてみます。
■ 今の自分のフェーズとのズレ
ありがたいことに、現在はいくつかの国民的タイトルで、公式イラストを継続して担当させていただいています。
その流れの中で、新規案件を低単価のトライアルから始める、という形には、少しだけ違和感がありました。
これまで積み重ねてきた制作物や実績は、すべて公開しています。
そこを見て判断していただける形が、今の自分には一番自然だと感じています。
■ 名前が残らない仕事は、慎重に選ぶ
今回の条件では、制作物を作品として公開できない前提でした。
もちろん、守秘案件そのものを否定するつもりはありません。
ただ今の自分にとっては、
・自分の名前で世の中に残るか
・時間をかけた分だけ、積み上がっていくか
この2点は、以前よりもずっと大切な判断基準になっています。
時間は、思っている以上に有限なので。
■ 最後は、やっぱり「熱量」
いちばん大きかったのは、ここかもしれません。
僕はできるだけ、自分の中で温度がしっかり上がる作品、
心からリスペクトできる現場に、エネルギーを注ぎたいと思っています。
どれだけ話題性のあるタイトルでも、
どれだけ勢いのあるスタジオでも、
自分の魂が動かないなら、無理はしない。
最近は、そう決めています。
■ 「一流」とは、技術だけのことじゃない
実を言うと、丁寧にお断りの返信を差し上げてから数日が経ちますが、先方からは何の音沙汰もありません。
もちろん、お互いに条件が合わなければ、そこで話が途切れることはビジネスにおいて珍しいことではないのかもしれません。
ただ、わざわざ僕の個人サイトまで見て声をかけてくださったのなら、最後は人として、プロとして、一言「承知いたしました」と返すのが、本当の「一流」の仕事の進め方ではないか。そう感じずにはいられませんでした。
断った後の対応ひとつに、その組織がクリエイターをどう見ているのか、その本質が透けて見えてしまうものです。
「この領域には、立ち入らせなくて正解だった」
今、改めてそう確信しています。
■ おわりに
昔の自分だったら、きっと迷わず飛びついていたと思います。
でも今は、関わる仕事を少しずつ選べるようになってきました。
だからこれからも、
・心が動く仕事
・敬意を持って向き合えるチーム
・自分の強みがちゃんと活きる場所
この3つを大切にしながら、静かに積み上げていこうと思います。
自分の時間は、自分が本当に震えるものにだけ使う。
……僕、最強だから。
